熱疲労と熱射病の違いは、ひとことで言えば 意識がはっきりしているかどうか です。
見分けるポイントは体温ではなく、呼びかけへの反応・受け答え・まっすぐ歩けるかの3点
熱射病は放置すれば数十分で臓器の障害が進みます。少しでも様子がおかしければ、迷わず119番してください。
熱疲労と熱射病の違いを一覧で比較
| 項目 | 熱疲労(ねつひろう) | 熱射病(ねっしゃびょう) |
|---|---|---|
| 重症度分類 | II度(中等症) | III度(重症・緊急) |
| 意識 | はっきりしている | 障害がある(反応が鈍い、会話がかみ合わない、けいれん、意識なし) |
| 深部体温 | 正常〜40℃未満 | 40℃前後以上が目安 |
| 皮膚 | 冷たく湿っている、青白い、汗が多い | 熱い。汗が止まることもあれば、汗をかいたままのこともある |
| 主な症状 | 強い脱力感、めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、脈が速い | 上記に加えて意識障害、けいれん、多臓器の障害 |
| 体の中で起きていること | 脱水による循環血液量の減少 | 体温調節機能の破綻 |
| 対応 | 涼しい場所で冷却・経口補水液。改善しなければ受診 | ただちに救急要請。待つ間も全力で冷やす |
熱疲労は「脱水の問題」、熱射病は「体温そのものの問題」と整理すると混乱しません。
そもそも熱中症は4つに分けられる
「熱中症」は総称で、その中に次の4つが含まれます。熱疲労と熱射病は、この中の2つです。
熱失神
暑さで血管が広がり、脳への血流が一時的に減って起きる立ちくらみや失神です。屋外での長時間の起立、入浴後などに起こります。横になると比較的すぐ回復します。
熱けいれん
汗をかいたときに水だけを大量に飲み、血液中の塩分が薄まって起きる筋肉のけいれんです。足やお腹の筋肉がつるのが典型で、真水ではなく塩分を含む水分が必要になります。
熱疲労
大量の発汗で水分と塩分の両方を失い、体を巡る血液量が足りなくなった状態です。強いだるさ、頭痛、吐き気、めまいが出ます。この段階で正しく対応できれば重症化はほぼ防げます。
熱射病
体温調節が働かなくなり、体温が下がらなくなった状態です。脳や肝臓、腎臓、血液の凝固機能などに障害が広がります。熱疲労を放置した先にありますが、高齢者では熱疲労を飛ばして一気にここへ進むこともあります。
現場での見分け方は3つだけ
体温計がなくても、熱射病かどうかは次の3点で判断できます。
このうち1つでも怪しければ、熱射病を疑って救急車を呼んでください。「少しぼんやりしている」「言っていることがちぐはぐ」「歩き方がふらつく」は、すでに危険なサインです。

やってはいけない判断
「汗をかいているから熱射病ではない」という見分け方は誤りです。 汗が止まるのは古典的な熱射病の特徴として知られていますが、実際には汗をかいたまま熱射病になる例が数多くあります。汗の有無で除外しないでください。
杉山 制空同様に、「本人が大丈夫と言っている」も判断材料になりません。熱射病では判断力そのものが落ちているため、本人の申告はあてになりませんから・・・。
高齢者は熱疲労を飛び越えて熱射病になる
高齢者の熱中症には、若い世代とはっきり違う特徴があります。
【熱疲労と熱射病】応急処置の手順
熱疲労のとき
- 涼しい場所(冷房の効いた室内、日陰)へ移す
- 衣服をゆるめ、体を締めつけているものを外す
- 首・脇の下・脚のつけ根を保冷剤や冷たいペットボトルで冷やす
- 経口補水液を、本人のペースで少しずつ飲ませる
- 30分ほどで改善しなければ医療機関を受診する
自力で水分がとれない、吐いてしまう場合は、その時点で受診が必要です。
熱射病を疑うとき
- ためらわず119番通報する
- 救急車を待つ間、可能な限り強く冷やし続ける
- 冷たい水に体を浸けられる状況なら最も効果的。難しければ、体に水をかけて扇風機やうちわで風を当てる(気化熱で体温が下がります)
- 首・脇の下・脚のつけ根を氷や保冷剤で冷やす
- 意識がはっきりしない人に、無理に飲ませない(誤嚥して窒息や肺炎の原因になります)
- 吐き気があるときは体を横向きに寝かせる
冷却は救急隊の到着を待たずに始めてください。熱射病では、体温が高い時間が長いほど後遺症のリスクが上がります。
熱射病まで進ませない熱疲労で止めるための予防
熱射病まで進ませないためには、熱疲労の手前で食い止めることが現実的な目標になります。
【熱疲労と熱射病の違い】よくある質問
Q. 熱疲労と熱射病、どちらが「熱中症」ですか?
どちらも熱中症です。熱中症という総称の中に、熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病の4つが含まれます。「熱中症になった」という言い方だけでは重症度が伝わらないため、症状を具体的に伝えることが大切です。
Q. 「日射病」とは違うのですか?
日射病は、直射日光を浴び続けて起きる熱中症を指す古い呼び方です。現在は医学的にはあまり使われず、屋内で起きるものも含めて熱中症として扱います。熱射病は日光の有無に関係なく起こります。
Q. 体温が39℃なら熱疲労ですか?
体温だけでは判断できません。40℃という数字はあくまで目安で、38℃台でも意識障害があれば熱射病として対応します。逆に体温が高くても意識が清明であれば熱疲労の可能性が高くなります。判断の軸は常に意識です。
Q. 一度回復したら、その日はもう大丈夫ですか?
いいえ。一度熱中症を起こした体は水分・塩分が不足したままで、同じ日のうちに再発しやすい状態です。その日は暑い環境を避け、涼しい場所で休んでください。翌日以降も数日は無理をしないことをおすすめします。
Q. エアコンが苦手な高齢の親に、どう伝えればよいですか?
「暑いから」ではなく「体調を崩すと入院になる」という具体的な結果を伝えると受け入れられやすくなります。設定温度を28℃にする、風が直接当たらないよう風向きを調整する、といった折衷案も有効です。それでも難しい場合は、日中だけ涼しい公共施設で過ごしてもらう方法もあります。
夏の食事が細ると、熱中症のリスクは上がります
熱疲労も熱射病も、その土台にあるのは水分と栄養の不足です。夏に食欲が落ちて食事の回数や量が減ると、食事由来の水分がとれなくなり、たんぱく質不足で体力も落ちていきます。



ニコニコキッチン宝塚西宮店では、宝塚市・西宮市のご自宅へ、栄養バランスを整えたお食事を配達員が手渡しでお届けしています。お渡しの際に、顔色や受け答え、部屋の暑さといったふだんの様子も確認しています。夏場の「いつもと違う」に気づける目が一つ増えることは、離れて暮らすご家族にとっても安心につながります。


《総括》熱疲労と熱射病の違いと見極め
- 熱疲労と熱射病の違いは、意識障害があるかどうか
- 熱疲労は脱水の問題、熱射病は体温調節が壊れた状態
- 見分けるのは体温ではなく、呼びかけへの反応・受け答え・歩き方
- 「汗をかいているから熱射病ではない」は誤り
- 高齢者は熱疲労の段階を飛ばし、室内・安静時に熱射病になることがある
- 熱射病を疑ったら、ためらわず119番。待つ間も冷やし続ける
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