古米の余りは廃棄される?余ったお米の行方を2026年データで解説

古米の余りは廃棄される
杉山 制空

「今年はお米が余っていると聞くけれど、余った古米は捨てられてしまうの?」2026年に入ってから、こうした疑問をよく耳にするようになりました。1年半前の「令和のコメ騒動」でお米が買えなかったことを覚えている方ほど、当然のことながら、余っているという話には戸惑いを感じるはずですよね。

先に結論をお伝えします。

国全体で余った古米は、そのまま廃棄されるわけではありません。 値下げして売り切る、飼料用に回す、加工用原料にする、援助・寄付に回す、という順番で行き先が決まっていきます。

それでも「廃棄」はゼロではありません。 精米されて店頭に並んだあとに売れ残った分や、炊いたあとのごはんは、実際に処分されています。行き場をなくしやすいのは、玄米より「精米された古米」のほうです。

2026年9月時点の店頭価格は5kgあたり2,971円まで下がり、約2年ぶりに3,000円を割り込みました。 古米より新米のほうが安いという逆転現象も起きています。ご家庭で古米が残っている場合は、買い足しを急がず、いま手元にある分を食べきることが最優先です。

この記事では、余った古米が実際にどこへ行くのかを流通の段階ごとに整理したうえで、ご家庭にお米が余ってしまったときの見分け方・食べ方・寄付先まで、順番に解説します。


目次

2026年に古米が余っている理由

民間在庫は過去最大水準

まず、どれくらい余っているのかを数字で確認します。

2026年6月末時点のコメの民間在庫量は243万玄米トンまで積み上がりました。7月末時点でも、その月としては過去最大の水準です。お米が店頭から消えた2024年夏とは、まったく逆の状況になっています。

在庫が膨らんだ理由は、大きく2つです。

  • 2025年産の大幅な増産(前年から約68万トンの生産増)
  • 価格高騰による需要の落ち込み(約30万トンの需要減)

つまり「作った量が増えたのに、高くて買い控えられた」結果として、売れ残りが翌年に持ち越されました。2025年に政府が主食用として約59万トンの備蓄米を放出したことも供給を厚くしましたが、備蓄米だけが原因という説明は、需給の計算に合いません。

そこへ2026年産の新米が加わった

2026年産の主食用米の生産量は、6月末時点の作付け意向で前年比1%増の732万トンと見通されました。その後、8月下旬の作柄見通しでは24道府県で平年を上回るとされ、生産量の見通しも上方修正されています。

売れ残った2025年産(=古米)の上に、豊作の新米が乗る。これが2026年秋の需給環境です。

「新米のほうが安い」逆転現象

この結果、通常なら考えにくいことが起きています。

JAなどが生産者に前払いする2026年産の概算金は、各地で前年から4割前後引き下げられました。新潟の一般コシヒカリは玄米60kgあたり1万8,500円、北海道のななつぼしは1万7,000円、岩手のひとめぼれは1万7,200円、福井のコシヒカリは1万7,000円といった水準です。

一方、2025年産の古米は、高値だった昨秋に仕入れた在庫です。集荷業者も米穀店も高く買っているため、簡単には値下げできません。その結果、新潟の米穀店では新米のほうが古米より5kgあたり500円ほど安いという価格設定になっています。

杉山 制空

店頭価格も下がり続けています。農林水産省が9月18日に発表した9月7〜13日の全国約1,000店舗の平均価格は、5kgあたり2,971円。前週より32円安く、5週連続の下落で、3,000円を割り込んだのは約2年ぶりです。内訳は銘柄米が2,988円、ブレンド米などが2,866円でした。

直近の店頭平均価格(5kg・税込)

集計週平均価格前週比
8月24〜30日3,112円−44円
8月31日〜9月6日3,003円−109円
9月7〜13日2,971円−32円

「古米が余っている」という話は、こうした価格の動きとセットで理解すると分かりやすくなります。


【古米の余り廃棄の行方】余ったお米は実際どこへ行くのか

ここからが本題です。余った古米は、次の5つの行き先をたどります。上から順に優先され、下に行くほど「やむを得ない選択」になります。

①値下げして主食用として売り切る

もっとも多いのがこれです。集荷業者も卸も米穀店も、新米の前に古い在庫を現金化したいため、利益を削ってでも値下げして売ります。2026年の店頭価格の下落や特売の広がりは、まさにこの「投げ売り」が反映されたものです。

消費者から見れば、余っているときこそブレンド米や前年産が安く買えるということでもあります。前述のとおり2026年は逆転現象のため、価格だけを見るなら新米も同じくらい安い、という珍しい年です。

②飼料用に回る

主食用として売り切れない米は、家畜のエサ(飼料用米)に回されます。玄米のまま保管されていれば、この道が使えます。

ただし、注意しておきたい点があります。飼料用米は本来「作付けの段階で」飼料用として育てるもので、余った主食用米が自動的に安く飼料へ流れる仕組みではありません。むしろ2026年産は、飼料用米の生産が需要に対して最大25万トン不足する見通しです。米粉用米も需要6万トンに対して半分程度にとどまります。

主食用は余っているのに、飼料用と加工用は足りない・・・これが2026年のいびつなところです。余った主食用米を非主食用へ振り向けるには、価格差を誰が負担するのかという問題が残ります。

③加工用原料になる

味噌、日本酒、米菓(せんべい・あられ)、米粉、みりん、工業用のでん粉やバイオエタノールなど、加工用の原料としても使われます。多少食味が落ちていても支障が少ない用途です。

加工用米も、2026年産の作付けは4万5,000ヘクタールと前年から微増にとどまっており、原料不足を訴える食品メーカーは少なくありません。余剰在庫の一部がこちらへ回ることには、需給の両面から意味があります。

④援助・寄付に回る

こども食堂、こども宅食、フードバンク、災害時の支援物資、海外への食糧援助といった行き先もあります。政府備蓄米についても、一部(500トン程度)は精米の状態で備蓄され、入れ替えの前にこども食堂やフードバンクへ無償で提供されています。

量としては大きくありませんが、「食べられる米を食べる人に届ける」という点で、もっとも無駄のない行き先です。

⑤本当に廃棄されてしまう部分

そして、ここが「廃棄」の実態です。

余った米のうち、本当に捨てられているのは、玄米のまま倉庫にある分ではなく、精米されて売り場に出たあとの分です。スーパーやコンビニでは鮮度が重視されるため、精米から1か月ほど経った商品が棚から下げられ、処分されるケースがあります。炊いたごはんについても、1日に数トン単位で廃棄物処理業者に持ち込まれているという指摘があります。

つまり、廃棄を減らす鍵は流通の一番川下にあります。必要な量だけ精米して、必要な量だけ買う。 消費者の側でできる対策も、結局はここに行き着きます。


政府備蓄米の古米はどうなるのか

「備蓄米は5年経ったら家畜のエサになる」という話を聞いたことがある方も多いはずです。これは仕組みとして事実です。

政府備蓄米は適正水準を100万トン程度とし、毎年21万トン程度を買い入れ、5年持ち越しになった段階で飼料用など非主食用として売却する運営方式が基本指針で定められています。古い米を永久に抱え込むのではなく、毎年入れ替えることで備蓄全体の鮮度を保つ仕組みです。

保管は低温倉庫ですが、年数が経てば品質は変化します。脂質の酸化・分解によってヘキサナールなどの成分が生じ、いわゆる古米臭が出るほか、吸水が遅くなる、炊いたごはんが硬くなる、つやが落ちるといった変化が起きます。

2026年は「放出した備蓄米を買い戻す」異例の年

2026年はさらに一歩踏み込んだ動きがありました。鈴木農林水産大臣は9月1日、2025年に放出した備蓄米のうち21万トンを買い戻すと表明。9月2日の食糧部会で正式に決定し、9月18日から随意契約による手続きを開始するとしています。政府が一度放出した備蓄米を買い戻すのは初めてです。

過去最大の民間在庫を抱えた状態で価格が下がり続けているため、市場から一定量を引き取って生産者の経営への影響を和らげる狙いがあります。一方で、価格を下支えする政策は物価対策と逆方向に働くという指摘もあり、評価は分かれています。

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備蓄米の買い戻しで誰が得する?21万トンの随意契約で消費者・農家・国に起きること 2026年9月18日、農林水産省は2025年に放出した政府備蓄米21万トンの買い戻しについて、全量確保のメドがたったと発表しました。放出した備蓄米を国が買い戻すのは、現行...

ご家庭で古米が余ったときの行方

ここからは、国全体の話ではなく「わが家の米びつ」の話です。まとめ買いした10kgが残っている、実家から届いたお米を食べきれない、備蓄していた分が古くなった、捨てる前に確認していただきたいことがあります。

まず「まだ食べられるか」を見分ける

お米には法律上の賞味期限・消費期限の表示義務がなく、袋に書かれているのは精米年月日です。おいしく食べられる期間の目安は次のとおりです。

状態おいしく食べられる期間の目安
玄米(未開封)約1年
玄米(開封後)約1か月
精米(開封後・春夏)約1か月
精米(開封後・秋冬)約1〜2か月

期間を過ぎたからといって、ただちに食べられなくなるわけではありません。ただし、次のサインがある場合は口にしないでください。

白や緑、黒っぽいカビが見える、米粒が固まっている

明らかなカビ臭・酸っぱいにおいがする

米袋や米びつに虫が発生している(虫だけなら取り除いて食べられる場合もありますが、湿気を吸っていることが多く、食味は落ちます)

水に浸したときに濁りがひどい、ぬめりがある

判断に迷うときは無理をせず処分してください。古米の食味の劣化と、衛生上の危険は別の話です。

古米の状態

古米をおいしく炊くコツ

劣化のサインがなければ、炊き方の工夫でかなり改善します。

やさしく研ぐ:古米臭は研ぐことで軽減されますが、乾燥して割れやすくなっているため、力を入れずに手早く。最初の水はすぐ捨てます。

最初の水はすぐ捨てます

水はやや多めに:水分が抜けているぶん、通常どおりの水加減だと硬く炊き上がります。1合につき大さじ1〜2杯増やすところから調整してください。

水はやや多め

浸水時間を長めに:吸水が遅くなっているため、30分〜1時間ほど浸けると芯が残りにくくなります。

新米と混ぜて炊く:半分ずつ混ぜるだけでも、香りと食感がかなり変わります。2026年は新米が安いので、現実的な方法です。

味をつけて炊く:チャーハン、ピラフ、炊き込みごはん、カレー、リゾットなど、油や出汁が入る料理は古米のほうが向いています。水分が少ない分、べたつきにくいためです。

やわらかめに仕上げたいときは、浸水を長めに取り、水を多めにして炊いてください。硬いごはんが食べにくい方にとっては、この調整だけでも食卓の負担が変わります。

これ以上劣化させない保存方法

米袋には通気用の穴が空いているため、買ったら密閉容器へ移す(米びつ、ふた付き容器、ペットボトル、チャック付き袋でも可)

高温多湿を避ける。シンク下やコンロ横は避け、夏場は冷蔵庫の野菜室が最適です

1回分ずつ小分けにすると、開閉のたびに空気と湿気に触れる回数が減ります

乾燥唐辛子や市販の防虫剤を入れる(生の唐辛子はカビの原因になるので避けます)

容器は継ぎ足さず、使い切ってから洗って乾かす

お米の保管方法

どうしても食べきれないとき

食べきれない未開封のお米は、捨てる前に寄付という選択肢があります。フードドライブやフードバンクでは、お米は最も需要の高い品目のひとつです。

兵庫県内でも、阪神北県民局が宝塚総合庁舎などを会場にフードドライブを実施し、宝塚市社会福祉協議会(宝塚ボランタリープラザ zukavo)へ寄付する取り組みが行われてきました。西宮市でも、兵庫県西宮総合庁舎を会場に、西宮市社会福祉協議会の協力による受付が実施された実績があります。

持ち込む前に確認すべき3点

  1. 未開封であること(開封済みは基本的に受け付けてもらえません)
  2. 常温保存できる状態であること
  3. 精米年月日。お米は賞味期限表示がないため、窓口ごとに「精米から◯か月以内」などの独自基準を設けていることがあります

実施時期や会場は年度ごとに変わります。お住まいの市の社会福祉協議会や環境・清掃部門に、事前に電話で確認してから持ち込んでください。

それも難しい場合、最終的には可燃ごみとして処分することになります。その際は、少量ずつ袋に分け、水分を含ませないようにするとにおいや虫の発生を抑えられます。園芸をされる方なら、といだあとの水を植木の水やりに使う、糠を肥料に回すといった活用もできます。

【古米の余りは廃棄される?】よくある質問

Q1. 余った古米は結局、捨てられているのですか?

玄米の状態で倉庫にある在庫が、そのまま焼却されているわけではありません。値下げ販売・飼料用・加工用・援助用という行き先があります。ただし、精米されて店頭に並んだあとに売れ残った分や、調理済みのごはんは実際に廃棄されています。

Q2. 古米と新米、どちらを買うべきですか?

2026年9月時点では、銘柄によって新米のほうが安い逆転現象が起きています。味の面でも新米が有利ですので、価格差がないなら新米を選んで差し支えありません。なお、すでにご自宅に古米がある場合は、まずそれを食べきることが最優先です。

Q3. 備蓄米(古古米)は食べても大丈夫ですか?

低温倉庫で管理されていますので、衛生上の問題はありません。食味は落ちますが、水を多めにする、浸水を長めに取る、炊き込みや炒めものに使うといった工夫で十分おいしく食べられます。

Q4. お米に賞味期限が書かれていないのはなぜですか?

お米は保存環境によって食べられる期間が大きく変わるため、法律上の賞味期限表示ではなく、精米年月日の表示が義務づけられています。買うときも、家の在庫を確認するときも、見るべきはこの日付です。

Q5. 虫がわいたお米は食べられますか?

虫を取り除けば食べられる場合もありますが、虫が発生している時点で温度・湿度の条件が悪く、食味はかなり落ちています。カビ臭やぬめりがある場合は食べずに処分してください。


《総括》古米の余りは廃棄される?

2026年は記録的なコメ余りの年で、2026年6月末の民間在庫は243万玄米トン。店頭価格は9月7〜13日時点で5kg2,971円と、約2年ぶりに3,000円を割り込みました

余った古米は、①値下げ販売 ②飼料用 ③加工用 ④援助・寄付 という順に行き先が決まります。国全体の在庫がそのまま廃棄されているわけではありません

ただし主食用が余る一方で飼料用・加工用は不足しており、余剰をうまく振り向けられていないのが2026年の実情です

本当に廃棄されているのは、精米後に売れ残った分と調理済みのごはん。必要な量だけ精米し、必要な量だけ買うことが、家庭でできる最大の対策です

ご家庭の古米は、カビ・においを確認したうえで、水を多めに・浸水を長めにすればおいしく食べられます。未開封で食べきれない分は、お住まいの市の社会福祉協議会などの窓口に相談してみてください

杉山 制空

お米の値段は下がりましたが、買い物や調理の負担そのものは変わりません。宝塚市・西宮市で日々の食事にお困りの方は、ニコニコキッチン宝塚西宮店までご相談ください。


参考データ一覧

  • 農林水産省:スーパー等のPOSデータに基づく米の店頭平均価格(2026年9月18日公表、9月7〜13日分=5kg2,971円)
  • 農林水産省:米に関するマンスリーレポート、相対取引価格・民間在庫の推移
  • 農林水産省:米の備蓄政策について(適正備蓄水準100万トン、毎年21万トン程度買入、5年持ち越しで飼料用等として販売)
  • 農林水産省:2026年産水稲の作付け意向・作柄概況(2026年6月末時点・8月15日時点)
  • 農林水産省・食料・農業・農村政策審議会食糧部会(2026年9月2日/備蓄米21万トン買い戻しの決定)
  • 日本農業新聞:2026年産の飼料用米・米粉用米・加工用米の作付け意向(2026年7月29日)
  • 日本経済新聞:2026年産主食用米の生産見通し、コメ店頭価格の推移
  • 各地の報道:2026年産概算金および新米・古米の価格逆転に関する取材記事
  • 兵庫県阪神北県民局/阪神南県民センター:フードドライブ実施情報
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