ほうじ茶は水分補給にならない?なる?正しい飲み方を徹底解説

ほうじ茶は水分補給にならない?
杉山 制空

「ほうじ茶は水分補給にならない」こうした情報をSNSや健康系メディアで目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

実際のところ、ほうじ茶は水分補給になるのか、ならないのか・・・病院でほうじ茶が提供される理由は何か?麦茶とほうじ茶のどちらが水分補給に適しているのか?

本記事では、ほうじ茶と水分補給にまつわる疑問をすべて解消していきます。

目次

ほうじ茶は水分補給にならない?なる?カフェイン含有量から検証

ほうじ茶が水分補給に適しているかどうかを判断するうえで、最も重要な指標がカフェイン含有量です。

日本食品標準成分表(八訂)によると、各お茶のカフェイン含有量(100mlあたり)は以下のとおりです。

お茶の種類カフェイン含有量(100mlあたり)
玉露約160mg
煎茶(緑茶)約20mg
ほうじ茶約20mg
番茶約10mg
麦茶0mg
ルイボスティー0mg
コーヒー約60mg

ほうじ茶のカフェイン含有量は100mlあたり約20mgであり、コーヒーの3分の1程度に過ぎません。この量では、利尿作用が水分補給効果を上回ることは考えにくいです。

したがって、ほうじ茶は水分補給になりますカフェインが含まれていることは事実ですが、その量は微量であり、日常的な水分補給の手段として問題なく使用できます。


ほうじ茶の水分補給率はどのくらい?

「水分補給率」という概念は、摂取した水分のうち体内に実際に保持される割合を意味します。純水の水分補給率を100%とした場合、ほうじ茶の水分補給率はおおむね90〜95%程度と考えられています。

カフェインによる利尿作用でわずかに尿量が増える可能性はあるものの、ほうじ茶に含まれるカフェインは少量であるため、失われる水分はごくわずかです。スポーツドリンクやOS-1のような経口補水液と比較すると電解質補給の面では劣りますが、日常的な水分補給としては十分な保水効果を発揮します。

杉山 制空

ただし、発汗量が著しく多い場面(激しい運動時や猛暑日の屋外作業など)では、ほうじ茶単体では電解質の補給が不足するため、塩分やミネラルを含む飲料との併用が望ましいです。


緑茶は水分補給にならないのか?

緑茶(煎茶)のカフェイン含有量はほうじ茶とほぼ同じ100mlあたり約20mgであり、水分補給の観点ではほうじ茶と大きな差はありません。緑茶も適量であれば水分補給に活用できます。

杉山 制空

ただし、緑茶にはカフェインに加え**カテキン(タンニン)**が多く含まれています。カテキンは空腹時に大量に摂取すると胃粘膜を刺激し、胃痛や吐き気を引き起こすことがあります。高齢者や胃腸が弱い方にとっては、緑茶よりもほうじ茶のほうが胃への負担が軽く、水分補給に適しているといえます。

ほうじ茶は茶葉を高温で焙煎しているため、カテキンの含有量が緑茶よりも少なくなります。焙煎の過程でカテキンの一部が分解・変性するためであり、これがほうじ茶の刺激の少なさにつながっています。


なぜ病院はほうじ茶なのか?医療現場で選ばれる理由

入院した経験がある方なら、病院の食事にほうじ茶が添えられていることに気づいたことがあるのではないでしょうか。緑茶でも麦茶でもなく、なぜほうじ茶なのか。その理由は複数あります。

胃腸への刺激が少ない

前述のとおり、ほうじ茶はカテキン含有量が緑茶より少なく、胃への負担が軽いです。術後や体力が低下している患者にとって、胃腸に優しい飲み物であることは大きなメリットといえます。

カフェインが少なく睡眠を妨げにくい

入院中の患者にとって、十分な睡眠を確保することは回復の鍵となります。ほうじ茶はコーヒーや玉露と比べてカフェインが大幅に少ないため、夕食時に提供しても睡眠に影響しにくいのが特長です。

温度を問わず飲みやすい

ほうじ茶は香ばしい風味があり、温かい状態でも冷めた状態でも比較的おいしく飲めます。病院では配膳から摂取までに時間がかかることも多いため、冷めても風味が損なわれにくいほうじ茶は実用的な選択です。

服薬への影響が少ない

緑茶に豊富に含まれるカテキンやビタミンKは、一部の薬剤(特にワーファリンなどの抗凝固薬)との相互作用が指摘されています。ほうじ茶は焙煎によってこれらの成分が減少しているため、服薬中の患者にも比較的安心して提供できます。

コスト面の利点

ほうじ茶は番茶や二番茶など、コストの低い茶葉を原料にしていることが多いです。大量に調理・提供する病院給食においては、経済的な側面も選定理由のひとつとなっています。

水分補給にはほうじ茶と麦茶のどちらがいいですか?

水分補給という目的に限定すれば、麦茶のほうがやや優れていると考えられます。その最大の理由はカフェインの有無です。

麦茶はカフェインをまったく含みません。そのため利尿作用の心配が一切なく、摂取した水分がそのまま体内に保持されやすくなっています。また、麦茶にはミネラル(カリウム、マグネシウム、リンなど)が微量ながら含まれており、発汗で失われた電解質の補給にもわずかに寄与します。

杉山 制空

一方、ほうじ茶にはカフェインが少量含まれるものの、実用上の差はわずかです。ほうじ茶の香ばしさを好む方は、ほうじ茶で水分補給を行っても問題ありません。

選び方の目安を整理すると以下のとおりです。

比較項目ほうじ茶麦茶
カフェイン微量あり(約20mg/100ml)なし
ミネラル少量やや多い
利尿作用ほぼなしなし
胃への刺激少ない少ない
就寝前の摂取少量なら可問題なし
乳幼児への適性控えめに適している
妊娠中・授乳中適量なら可推奨

夏場の水分補給や子ども・妊婦の日常飲料としては麦茶が最適解ですが、大人が日常の嗜好飲料として楽しみながら水分を補給するにはほうじ茶も十分な選択肢です。


水分補給にならないお茶はあるのか?

すべてのお茶は水分を含んでいるため、「まったく水分補給にならないお茶」は存在しません。ただし、カフェインが極端に多いお茶の場合、利尿作用によって水分補給効率が著しく下がる可能性があります。

水分補給にあまり向いていないお茶として挙げられるのは以下のとおりです。

玉露は100mlあたり約160mgという非常に高いカフェイン含有量を持っています。日常的な水分補給には適さず、嗜好品として少量を楽しむものです。

抹茶も100mlあたり約32〜48mgのカフェインを含み、玉露ほどではないもののコーヒーに近い水準です。水分補給目的で大量に飲むのは控えたほうがよいでしょう。

濃い煎茶は通常の煎茶よりも茶葉を多く使い、長時間抽出した場合にカフェイン含有量が増加します。濃い目に淹れた煎茶を水分補給のメインにするのは避けるべきです。

反対に、水分補給に適したお茶としては、麦茶、ルイボスティー、黒豆茶、コーン茶などのノンカフェイン茶が挙げられます。カフェインゼロで胃腸への刺激もなく、幅広い年齢層に安心して提供できます。


ほうじ茶のデメリットと注意点

ほうじ茶は健康的な飲み物として広く親しまれていますが、いくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。

カフェインがゼロではない

少量とはいえカフェインを含むため、カフェインに過敏な体質の方、妊娠中でカフェインを極力避けたい方は注意が必要です。完全にカフェインフリーを求めるなら、麦茶やルイボスティーを選ぶほうが確実です。

タンニンによる鉄分吸収の阻害

ほうじ茶には緑茶よりは少ないものの、タンニンが含まれています。タンニンは非ヘム鉄(植物性食品に含まれる鉄分)の吸収を阻害する作用があります。鉄欠乏性貧血の方や鉄剤を服用中の方は、食事中や食直後にほうじ茶を大量に飲むことは避けたほうがよいでしょう。食事と30分〜1時間程度の間隔を空けるのが理想的です。

水の代わりにはなりきれない

ほうじ茶は水分補給に有効ですが、純水と完全に同等ではありません。カフェインやタンニンの影響を考慮すると、1日の水分摂取のすべてをほうじ茶で賄うのはおすすめできません。水、ほうじ茶、麦茶などをバランスよく組み合わせるのが理想的な水分摂取法です。

歯の着色(ステイン)

ほうじ茶にもポリフェノール類が含まれており、長期間にわたって常飲すると歯にステイン(着色汚れ)が付着することがあります。コーヒーや紅茶と比べると着色度は低いですが、歯の白さを気にする方は飲んだ後に水で口をゆすぐとよいでしょう。


ほうじ茶は水の代わりになりますか?

「水の代わり」として日常的にほうじ茶を飲むことは、ある程度は可能です。

ほうじ茶の成分の大部分は水であり、カフェインの含有量も微量であるため、日中の水分補給としてほうじ茶を飲むこと自体に大きな問題はありません。

ただし、すべての水分をほうじ茶に置き換えることはおすすめできません。前述したタンニンによる鉄分吸収阻害や、カフェインの蓄積(1日に何リットルも飲む場合)を考慮すると、1日の水分摂取量の半分程度をほうじ茶とし、残りは水や麦茶で補うというバランスが現実的な目安となります。

杉山 制空

とくに高齢者は脱水リスクが高い一方で、一度に大量の水分を摂取することが難しい傾向があります。ほうじ茶は温かくして少量ずつ飲めるため、高齢者の日常的な水分補給手段として適しています。宅配弁当サービスなどで温かいほうじ茶を食事に添えて提供することは、高齢者の水分摂取量を自然に増やす有効な方法です。


《総括》ほうじ茶は水分補給にならない?なります!

ほうじ茶は水分補給にならないという説は、カフェインの利尿作用を過大に解釈した誤情報です。

ほうじ茶のカフェイン含有量は微量であり、日常的な水分補給に十分使えます。病院でほうじ茶が選ばれるのは、胃腸への優しさ、カフェインの少なさ、服薬への影響の少なさなど、合理的な理由があるからです。

カフェインが完全にゼロの飲み物を求めるなら麦茶やルイボスティーが最適ですが、ほうじ茶の香ばしい風味を楽しみながら水分補給したい方にとって、ほうじ茶は非常に優れた選択肢です。

杉山 制空

水、ほうじ茶、麦茶をバランスよく組み合わせて、健康的な水分摂取習慣を築いていきましょう。

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