宝塚市民の憩いの場として20年以上にわたり愛されてきた『ナチュールスパ宝塚』が、2026年6月末をもって現行の温浴事業を終了する方針が明らかになりました。
杉山 制空宝塚温泉エリアで唯一の日帰り入浴施設が姿を消すことに、地域住民やニコニコキッチン宝塚西宮店のご利用者様からも惜しむ声が相次いでいます。
【ナチュールスパ宝塚】閉館理由|16億円の維持費と慢性赤字


ナチュールスパ宝塚が閉館に至った最大の理由は、老朽化する施設の維持管理費と慢性的な赤字体質という、財政面での限界です。
30年間で16億円超の維持管理費



実際に2025年1月には4階露天ジャグジーが設備トラブルで利用休止となり、補修工事を経て同年2月にようやく再開。さらに2026年1月にもボイラー関係の設備不良が発生し、露天ジャグジーは2月から4月下旬まで約2ヶ月間の利用休止を余儀なくされました。このように、場当たり的な修繕では追いつかない段階に来ていることは明らかです。
安藤忠雄氏設計のコンクリート打ちっぱなし建築は、意匠性は高い一方で維持・改修コストも高くなる傾向があり、温泉施設としての機能維持と建築物としての保全の両立が財政的に困難になっていたと考えられます。
慢性的な赤字経営
公設民営の施設である以上、赤字分は実質的に市民の税金で補填されます。
民間への譲渡も不調
宝塚市は早ければ2024年7月にも温浴事業を断念し、民間事業者に建物を譲渡する3案を打ち出していました。
宝塚市が示した「早ければ2024年7月からの新方式運営」の3案は、優先順位の高い順に以下の通りです。
第1案(最優先)|温浴事業の継続を前提とした譲渡
土地は市が保有したまま民間事業者に貸し出し、建物は売却もしくは無償で提供して、現状通り温浴事業を展開してもらう案です。宝塚温泉の温浴施設としての機能を維持できるため、市が最も優先していた案でした。
第2案|温浴事業を断念し、幅広い活用を募る
第1案で事業者が見つからない場合の案です。温浴事業にはこだわらず、幅広い活用方策を考える事業者を募集します。建物は売却または無償で提供し、土地を売却するかどうかは状況を見て判断するという内容でした。温泉施設でなくてもよいので、とにかく建物を活かしてくれる事業者を探すという方針です。
第3案|建物の活用自体を断念
第2案でも応募がなかった場合の、いわば最終手段です。建物の活用自体を断念し、土地と建物の買い取りなどを検討してくれる事業者を探すというものでした。この場合、建物が解体される可能性もあると報じられています。
つまり、「①温泉として残す → ②温泉でなくてもいいから建物を活かす → ③建物ごと手放す(解体もあり得る)」という段階的な譲渡プランだったわけです。



なお補足すると、この3案が示された背景には、ナチュールスパ自体が2004年の指定管理者制度導入後もスーパー銭湯ブームの逆風で2年間に数千万円の赤字を抱えた経緯があり、その後2006年頃から「健康増進」に「美容」「フィットネス」を加えた多角化で経営を持ち直したという歴史があります。前身のクリスタルスパリゾート破綻から数えると、この施設は一貫して「温泉単独では成り立たない」という構造的課題を抱え続けてきたことになります。
ナチュールスパ宝塚の現在の状況|一時休館と最終営業


2026年3月23日付で宝塚市公式ホームページには「ナチュールスパ宝塚 一時休館のお知らせ」が掲載されました.⇒ナチュールスパ宝塚公式サイト
【ナチュールスパ宝塚】閉館後はどうなる?宝塚温泉の今後
多くの市民が気にしているのは、閉館後の施設と宝塚温泉の行方です。
2026年度からの「事業形態変更」
建物の今後|安藤忠雄建築の保存問題



民間事業者への譲渡が実現すれば、ホテルや商業施設、複合型ウェルネス施設への転換など、様々な可能性が考えられますが、前述の通り譲渡交渉は難航しており、先行きは不透明です。
宝塚温泉の灯は消えるのか?
ナチュールスパ宝塚は、かつて50軒の旅館が連なった宝塚温泉エリアにおける唯一の日帰り入浴施設です。この施設がなくなれば、宝塚温泉を手軽に体験できる場所は実質的に消滅します。



宝塚住民を対象としたアンケートでは、「どこに温泉施設があったら嬉しいか」という問いに対し、61%が「宝塚駅の川沿い」と回答しており、現在のナチュールスパの立地に対する根強い需要が示されています。
「歌劇と温泉のまち」を標榜する宝塚市にとって、温泉施設の消滅は都市ブランドにも関わる重大な課題です。宝塚大劇場での観劇後に立ち寄る温泉という楽しみ方は、多くのファンに親しまれてきただけに、代替施設の確保も含めた今後の展開が注目されます。
地域住民・高齢者への影響
ナチュールスパ宝塚は、単なる観光施設ではなく、地域住民、とりわけ高齢者にとって重要な健康増進・交流の場でもありました。



こうした場所がなくなることで、高齢者の外出機会の減少、健康維持手段の喪失、地域コミュニティの希薄化といった影響が懸念されます。代替となる施設や事業の整備が急務と言えるでしょう。
《総括》宝塚温泉ナチュールスパの閉館と今後の展望
ナチュールスパ宝塚の閉館は、施設の老朽化、慢性的な赤字経営、民間譲渡の不調という複合的な要因によるものです。2026年6月末の営業終了後、施設や宝塚温泉がどのような形で存続・転換していくのかは、まだ明確には見えていません。



最新の情報は、宝塚市公式ホームページおよびナチュールスパ宝塚公式サイトで随時発表される見込みです。⇒ナチュールスパ宝塚公式サイト


