「古古米って本当に食べられるの?」「味はまずいって聞くけど実際はどうなの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
政府が備蓄米を市場に放出し、古古米や古古古米が注目される中、実際の味や安全性について気になりますよね。実は、2025年5月に行われた農林水産省の試食会では、古古古米について「新米と分からないレベル」という驚きの評価が出ているんです。
確かに新米と比べると香りや食感に違いはありますが、適切な保存管理と調理の工夫次第で、十分に美味しく食べることができます。
この記事では、古古米の本当の味や安全性、そして家庭でできる美味しい炊き方から、古古米の特性を活かした料理まで詳しく解説します。
米価高騰の今だからこそ知っておきたい、古古米の賢い活用法をお伝えします。
古古米って食べられるの?そもそも備蓄米って何?
備蓄米とは、国が食料安全保障の一環として、災害時や不作に備えて保管しているお米のことです。通常は玄米の状態で、専用の倉庫で管理されています。
では、なぜそんな大切なお米が私たちの食卓に届くようになったのでしょうか?
背景には、近年の米価高騰があります・・・政府は、お米の価格を安定させるための一つの策として、備蓄しているお米の一部を市場に放出することを決定しました。
これが、私たちがスーパーなどで備蓄米を見かけるようになった理由です。
放出されるお米には、収穫から数年経ったものが含まれるため、「古古米」や「古古古米」といった言葉も一緒に聞かれるようになったのです。
「古米」「古古米」「古古古米」の違いとは?
お米は収穫された年によって呼び方が変わります。
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新米(しんまい): その年に収穫されたお米
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古米(こまい): 収穫された年の翌年以降のお米
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古古米(ここまい): 収穫されてから2年経ったお米(例:2025年なら2022年産)
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古古古米(こここまい): 収穫されてから3年経ったお米(例:2025年なら2021年産)
つまり、「古」の字が多いほど、収穫から時間が経っているお米ということになります。
今回市場に出回っている備蓄米には、この「古古米」や「古古古米」が含まれているため、味や品質に関心が集まっているのです。
古古米って食べられるの?味と香りのリアル
「古いお米って、やっぱり味が落ちるんでしょ?」多くの方が一番気になっているのが、この味と香りの問題だと思います。
ここでは、実際の試食レポートや専門家の意見を交えながら、そのリアルな実態に迫ります。
古古米の風味「ひね臭いって本当?」
お米の専門家である米穀店の代表は、古古米について「匂いがまず違います、香りが違います。古米の場合はひね臭い匂いがします」と指摘しています。
この「ひね臭い」というのは、いわゆる「古米臭(こまいしゅう)」と呼ばれるもので、玄米の表面に含まれる脂質が時間とともに酸化することで発生する特有の香りです。
新潟大学の特任教授によると、ヘキサナールという物質が増えることで、脂っぽい嫌なにおいと感じられることがあるそうです。

新米と古古古米、味の違いは?
2025年5月に行われた農林水産省の試食会では、2024年産の新しいお米と、2021年産の「古古古米」を食べ比べる機会がありました。
実際に試食したキャスターによると、古古古米は「まず香りが気になります。古米臭ではないんですが、ご飯を炊きあげた直後に香るようなおコメの香りを感じます」とのこと。

また、別の実験では、2022年産の古古米と新しいお米を比較したところ、「少しべちゃっとしているような食感があり、甘みも少し減っている。去年産とは明確な味の違いを感じました」という結果も出ています。
しかし、さらに古い2020年産のお米と2022年産を比べると、そこまで明確な違いは感じられなかったという意見もあり、一概に「古いからダメ」とは言えないようです。
古古米は本当にまずい?美味しく食べるための工夫
「やっぱり少し味が落ちるのは仕方ないのかな…」そう思った方もいるかもしれません。でも、諦めるのはまだ早いです!ちょっとした工夫で、古古米も美味しくいただくことができるんです。
古古米をおいしく炊くコツ
五つ星お米マイスターのような専門家も、古いお米を美味しく食べるためのテクニックを持っています。一般的な古米を炊く際のコツとしては、以下のような点が挙げられます。
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研ぎ方: ヌカをしっかり落とすために、普段より1〜2回多く、優しく研ぐ。
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水加減: 古いお米は水分が抜けやすいため、新米よりも少し多めの水で炊くのがポイント。目安としては、通常の1割増しくらいです。
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浸水時間: パサつきを防ぎ、ふっくら炊き上げるために、夏場なら30分〜1時間、冬場なら1時間〜2時間程度、しっかりと水に浸しましょう。
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ちょい足しで風味アップ: 炊飯時に日本酒を少量(お米1合に対し小さじ1程度)加えると、古米特有の匂いが和らぎ、ふっくらと仕上がります。また、みりんやお米用の保湿剤(市販品)なども有効です。
これらのコツは、備蓄米として流通している古古米や古古古米にも応用できるでしょう。

古古米の特性を活かす!おすすめ調理法
「白米として食べるのはちょっと抵抗があるかも…」という方には、古古米の特性を逆手に取った調理法がおすすめです。
お米の専門家は、「チャーハン、カレー、あとスープカレーとか、全然大丈夫だと思います。白飯として食べるのはどうかなと私も思いますが、加工していれば絶対わからないと思います」とコメントしています。
古米は水分が少なく粘り気が少ないため、パラパラとした仕上がりになるチャーハンやピラフ、カレーライスなどにはむしろ適しています。
また、酢飯にする場合も、酢が染み込みやすく、美味しく仕上がると言われています。炊き込みご飯にするのも良いでしょう。
具材の風味や調味料の味が染み込みやすく、古米特有の香りが気になりにくくなります。
備蓄米・古古米の保存方法と注意点
せっかく手に入れた備蓄米、少しでも美味しく長持ちさせたいですよね。ここでは、適切な保存方法と購入時の注意点について解説します。
美味しさをキープする正しい保存方法
お米は生鮮食品と同じ。保存状態によって味が大きく変わります。古古米などの備蓄米も、適切な方法で保存することが大切です。
専門家は、古古米などの備蓄米は冷蔵庫の野菜室で保存することを推奨しています。
低温で湿度変化の少ない場所で保管することで、酸化の進行を遅らせ、風味の劣化を抑えることができます。密閉できる容器に入れ、空気に触れないようにすることも重要です。
精米されたお米は、購入後1ヶ月程度で食べきるのが理想的です。
古古米や古古古米の購入時にチェックしたいポイント
備蓄米、特に古古米や古古古米を購入する際には、いくつか注意したい点があります。
まず、精米年月日を確認しましょう。
精米されてから時間が経つほど、風味は落ちていきます。なるべく精米日が新しいものを選ぶのがおすすめです。
また、どこで誰が販売しているのかも確認しておくと安心です。
信頼できるお店で購入するようにしましょう。
価格だけで判断せず、お米の状態(割れ米が多くないかなど)も可能であればチェックすると良いでしょう。
少量から試してみて、ご自身の口に合うかどうかを確認するのも一つの方法です。
【備蓄米・古古米】Q&A
ここでは、備蓄米や古古米に関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 備蓄米って、普通のスーパーでも買えるの?
A1. はい、買えます。政府が放出した備蓄米は、大手スーパーや地域の小規模店舗、オンラインショップなどで販売されています。2022年産の古古米は大手スーパー、2021年産の古古古米は小規模店舗などで見かけることが多いようです。
Q2. 古古米や古古古米を食べても、健康上の問題はないの?
A2. 適切に管理・保管された備蓄米であれば、収穫から数年経過していても、安全性に問題はありません。政府の備蓄米は専門の倉庫で低温・低湿度で管理されており、品質が保たれやすいように工夫されています。ただし、ご家庭で購入後は、カビや虫が発生しないよう、適切な保存を心がけてください。
Q3. 「ひね臭い」お米は、もう食べられないの?
A3. 「ひね臭い」と感じる古米臭は、お米の脂質が酸化したことによるもので、食べられないわけではありません。ただ、そのまま白米として食べると風味が気になるかもしれません。前述したように、研ぎ方や炊き方を工夫したり、チャーハンやカレーなどの料理に活用したりすることで、美味しくいただくことができます。匂いが強すぎる場合や、カビのような異臭がする場合は食べるのを控えましょう。
【総括】古古米って食べられる?
古古米に対する「食べられるの?」というイメージは、正しい知識と調理技術で大きく変わることがお分かりいただけたでしょうか。
政府備蓄米として専用倉庫で管理された古古米は、温度15度・湿度75%の理想的な環境で保存されており、安全性に問題はありません。
実際に農林水産省の試食会では「新米と分からないレベル」という評価も得られ、小泉農水大臣も「美味しくいただける」とコメントしています。
確かに新米と比べると甘味や粘りが控えめになり、古米臭が感じられる場合もありますが、これらは適切な調理法で十分に改善できます。
美味しく食べるコツは、洗米を丁寧に行い、通常より1.1〜1.2倍の水で1〜2時間しっかり浸水させること。日本酒やみりんを小さじ1程度加えれば風味が向上し、粉寒天やお餅を加える技術でもちもち食感も実現できます。
さらに注目すべきは、古古米の特性を活かした料理での優位性です。
水分が少なく硬めの食感は、チャーハンやピラフでパラパラ感を生み、寿司では酢飯が染み込みやすく理想的な仕上がりになります。炊き込みご飯でも出汁や調味料がよく浸透し、深い味わいを実現できます。
米価高騰の今、古古米は家計にやさしい選択肢として大いに活用価値があります。
固定観念を捨て、まずは少量から試してみることをおすすめします。