『米不足』本当の理由【2025】黒幕は誰だ?減反政策と流通の歪みを解明

米不足問題

「なぜお米の値段がこんなに高いの?」「スーパーの棚からお米が消えるなんて、日本で起こるはずがない」。

2024年夏から続く「令和の米騒動」は、多くの日本人に衝撃を与えました。

2025年4月現在も米価格は高止まりし、農林水産省による備蓄米放出が実施されるなど、異例の事態が続いています。しかし、メディアで報じられる「不作」や「インバウンド需要増加」という説明は、本当に米不足の原因なのでしょうか?

皮肉なことに、米価高騰にもかかわらず、米農家の倒産は過去最多を記録しています。

この矛盾の背後には、50年以上続く減反政策や流通構造の歪みなど、日本の農業が抱える構造的問題が潜んでいるのです。

本記事では、米不足の「黒幕」を徹底解明し、私たち消費者にできる対策を考えます。

『米不足』本当の理由:実態と背景

『令和の米騒動』とは何か

2024年から続く米不足の現状

2024年夏に「令和の米騒動」として知られる事態が発生し、日本全国でお米が手に入りにくくなる状況が続いています。

スーパーの棚から米が消え、価格が高騰する事態となりました。

2025年4月現在も、米価格は高止まりしており、多くの消費者に影響を与えています。農林水産省のデータによると、在庫量は156万トンあるにもかかわらず、価格上昇が続いている状況です。

これは通常の需要と供給のバランスだけでは説明できない異常な状態といえます。

新米の収穫後も価格は逆に上昇し、JA農協が卸売業者に販売する際の米価は、60キログラム当たり2万5927円(2025年1月)にまで高騰しています。

これは冷害による大不作で「平成の米騒動」と言われた際の米価(1993年産の不作を反映した94年の政府買い入れ価格は1万6266円、自主流通米価格は2万3607円)をも上回る過去最高水準となっています。

メディアで説明される一般的な原因

メディアでは米不足の原因として、①昨年の猛暑と雨不足による不作、②おにぎりブームとインバウンドなどによる需要増、③南海トラフ地震臨時情報の発表による買いだめ行動などが挙げられています。

しかし、これらの説明は表面的なものに過ぎず、米不足の本質的な原因を理解するためには、より深い構造的問題を分析する必要があります。

『米不足』作況指数から見る真実

平年並みだった2023年産米

米不足の原因として「昨年の猛暑と雨不足による不作」が挙げられていますが、実はこれは事実と異なります。

2023年産米の作況指数は101であり、平年を100とした場合に平年よりも1%ほど多い収穫量だったのです。つまり、2023年は「不作」と言えるほどの状況ではなく、むしろ平年並みの収穫量があったことになります。

「平成の米騒動」が起きた1993年の作況指数は74でしたが、2023年は101と平年並みでした。

高品質米が不足していたという指摘もありますが、全体としては凶作ではなかったことが数字からも明らかです。

インバウンド需要の実際の影響

インバウンド(訪日外国人)の増加による消費増加も、米不足の主要因とは言えません。

月約300万人の訪日客が日本に1週間滞在し、日本人並みにコメを朝昼晩食べると仮定しても、その消費量は全体のわずか0.5%程度に過ぎません。

実際には、コメを3食とる訪日客は多くはなく、消費量はもっと少ないと考えられます。

このように、メディアで一般的に説明される原因は、米不足の本質的な問題を説明するには不十分であることがわかります。

『米不足』本当の理由:減反政策という構造的問題

【米不足の真相】減反政策とは何か

減反政策とは、コメの生産を減らして市場価格を上げるための政策です。

コメ農家が麦や大豆など他の作物に転作すれば、国が補助金を出す仕組みで、日本はこれを50年以上も続けています。

コメ以外のパンやパスタなどの消費が増える中、従来と同じ量のコメを作っていたら、余って価格が下落してしまうため、年々生産を減らしてきました。

現在では水田の約4割を減反して6割しか使わず、ピーク時の1445万トンの半分以下の生産に抑えています。

農家の余裕のない生産計画の問題点

ギリギリの需給バランス

減反政策によって、日本のコメ生産は予想される需要ギリギリの量に抑えられています。

このため、わずかな需給の変動によって、今回のような米不足の事態を招いてしまうのです。

ギリギリの生産態勢でやり繰りしているため、訪日客の消費が少し増えるなど、ささいな需要の変動があるだけで、あっという間に品薄状態となり、価格が高騰してしまいます。

これが現在の米不足の本質的な問題です。

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「平成の米騒動」との共通点

「平成の米騒動」も減反政策がなければ回避できた可能性が高いと指摘されています。

当時の潜在的な生産量1400万トンを減反で1000万トンに減らしていたところ、冷夏による不作で783万トンに減少しました。

しかし、通常年に1400万トン生産して400万トン輸出していれば、冷夏でも1000万トンの生産・消費は可能だったと考えられます。

現在は水田の4割を減反して生産量を650万トン程度に抑えており、同様の問題が繰り返されているのです。

米の流通構造の歪みと出荷調整

流通ルートから消えた米

農水省の調査結果

農水省の調査によると、通常の流通ルートから21万トンの米が消えており、これが価格高騰の一因となっています。

江藤農林水産大臣は「投機筋による買い占め」の可能性に言及し、「今まで米を扱ったことがないような人が参入している」と述べています。

24年産米は本来24年の10月から25年の9月にかけて消費されるものですが、40万トン不足したため、24年産の新米を8~9月に先(早)食いした結果、24年産米が本来供給される時期の供給量ははなから40万トンなくなっていました。

農水省が主張する18万トンの生産増加が正しいとしても、22万トン不足する計算になります。

新規参入業者による買い占め

民間業者間での米の奪い合いが起きており、これが米価高騰の一因となっています。

特に、これまで米を扱ったことのない新規参入業者による買い占めが問題視されています。

24年10月、11月、12月の民間在庫は、前年同月と比べて、それぞれ45万トン、44万トン、44万トン減少しています。先食い分が埋め合わせられていないことが、米価上昇の原因となっているのです。

【米不足の原因】JA全農による出荷調整

JAによる意図的な出荷量の調整

価格高騰の主要因の一つとして、関係業者による出荷調整が挙げられます。

農林水産省の最新データによれば、仕入れ量に対して出荷量が意図的に抑制されている実態が明らかになっています。

毎月の仕入れ量と出荷量の差が蓄積され、結果として市場への供給量が制限される状況が続いています。これがJA全農(全国農業協同組合連合会)による意図的な出荷量の調整であると指摘されています。

JAによる価格維持のメカニズム

JA農協が流通をコントロールし、価格を維持しようとしているという説があります。

また、卸売業者が市場の変動を利用して利益を得ているという説も存在します。

通常、商品が不足して需要が高まると、その分野への新規参入者が増え、競争により価格は安定または下落するはずです。

例えば、携帯電話業界や電気事業者では、規制緩和後に参入者が増え、価格競争が起きています。

しかし米市場では、販売業者の新規参入は増えているのに、米の生産に参入する業者がほとんど現れず、価格競争が起きていません。これは米の生産が儲からないと認識されているためです。

農家の経営危機と負のスパイラル

米価高騰でも苦しむ農家

農家倒産の増加

皮肉なことに、米価が高騰しているにもかかわらず、米作農家は深刻な苦境に立たされています。

2024年には米作農業の倒産・休廃業が42件発生し、前年比20%増で過去最多を記録しました。

米の値段が上昇しているにもかかわらず、農家の倒産件数は2023年の35件から2024年には42件へと増加し、過去最大を記録しました。

これは表面上の数字に過ぎず、実際には年間約4万件もの農家が廃業しており、加速度的に米の生産者が減少しているのです。

生産コスト上昇の影響

農家が苦しむ背景には、肥料や農薬などの生産資材コストの急上昇があります。

肥料価格の2倍増、燃料費の50%増など、生産コストが急騰する中、米価は低く抑えられ、農家の経営を著しく圧迫しています。

消費者が支払う米価格の上昇分は「気象価値代」に支払われ、農家のコスト増をカバーできていないのが現状です。

米価格が上昇しているのに農家が赤字経営となり倒産するという矛盾は、通常の市場経済では説明がつかない現象です。

【米不足】 負のスパイラルの形成

米不足と農家減少の悪循環

現在の状況は「負のループ」に陥っています。

米価が上昇しても農家には十分な利益が届かず倒産が増加し、供給が減少します。

これにより更に価格が上昇し、多くの販売業者が参入して価格競争が激化します。しかし、生産側への新規参入はなく、農家の減少が続くという悪循環が形成されています。

この状況が次のような負のサイクルを形成しています:

  1. 米の価格上昇

  2. 上昇分が農家に届かない

  3. 農家の倒産増加

  4. さらなる米不足

  5. より一層の価格高騰

農家の高齢化による廃業増加

特に深刻なのは高齢化の影響です。

廃業時の代表者年齢が判明したコメ農家のうち、2024年は70代以上が6割超、60代を含めると約8割を占めています。

物の値段が上がる理由には根本的に二つあります。

①コスト上昇による値上げ(生産コストが上がれば、生産者が赤字にならないよう値上げは必然)、②希少価値による値上げ(需要と供給のバランスが崩れ、希少性から価格が上昇)。

現在の米価高騰は主に「希少価値」による値上げですが、農家の「コスト上昇」に対応する値上げが実現していないため、生産者だけが苦しむ構造になっています。

【米不足問題】政府の対応と政治的思惑

 備蓄米放出の経緯と効果

 2025年3月の備蓄米放出

2025年3月3日、農水省は備蓄米放出の入札公告を発表しました。

大手集荷業者を対象に3月10〜12日に入札を実施し、計約21万トンのうち初回約15万トンを対象としました。

3月14日、約15万トンのうち約14万1,700トンが落札され、平均落札価格は税抜60キロあたり2万1,217円でした。

落札米は3月下旬以降、精米・輸送コストを加えた価格でスーパーなどに並ぶ見通しとなっています。農林水産省は、残り約7万トンの放出を3月中に実施する予定で準備を進めています。

専門家による価格見通し

宇都宮大学の小川真如助教(農業経済学)によると、備蓄米が割安価格で落札されれば、早ければ4月から5月にも一般向けの米の値段が下がってくる可能性があるとされました。

長期的には、2025年は作付面積が増え生育が順調なら秋に供給過剰となり、2026年4月上旬頃から価格が落ち着くという見通しです。

農業政策の矛盾と政治的思惑

選挙対策との関連性

米不足問題には政治的思惑も絡んでいます。

備蓄米放出を遅らせている背景には、自民党の選挙対策があるという見方があります。

備蓄米を放出すれば価格が下がり、農業関係者や農村部の有権者から不満が出るため、「農村票」を失わないようにしているという憶測が広がっています。

食料安全保障の観点からの問題

日本の農業政策は食料安全保障の観点からも問題があります。

減反政策を続ける限り、同じような米不足の事態は繰り返されるでしょう。

消費のささいな動きでコメはすぐ品薄となり、価格高騰につながるという環境は変わらないからです。

コメの年間生産量は現在、700万トン弱ですが、減反を止め単収の高いコメに変えれば、1700万トンを生産する実力はあります。

1700万トン作って、1000万トンを輸出に回せば、安全保障上のメリットは大きいでしょう。

例えば、台湾有事などで海上封鎖され、輸出入が閉ざされたとしたら、輸出していた1000万トンを国民の食料に回すことができるからです。

【総括】米不足の本当の理由

「令和の米騒動」と呼ばれる米不足の本当の理由は、単純な不作やインバウンド需要の増加ではなく、より構造的な問題にありました。

『米不足』の黒幕は、多数存在していたのです。

50年以上続く減反政策によって、日本のコメ生産は需要ギリギリの量に抑えられており、わずかな需給バランスの変動で品薄状態になりやすい構造となっています。

2023年産米の作況指数は101と平年並みであったにもかかわらず、米不足が発生したことは、この構造的問題を如実に示しています。

また、流通構造の歪みも大きな要因となっています。

JA全農による意図的な出荷調整や、新規参入業者による買い占めなどが、米価高騰を引き起起こしています。

通常の流通ルートから21万トンもの米が消えているという事実は、市場の健全性に疑問を投げかけています。

皮肉なことに、米価高騰にもかかわらず、農家の経営状況は悪化の一途をたどっています。

生産資材コストの急上昇が、米価上昇分を上回っているためです。

この状況が、農家の倒産や廃業を増加させ、さらなる米不足を招くという負のスパイラルを形成しています。

高齢化による廃業の増加も深刻な問題です。

70代以上の農家が6割を超えるという現状は、日本の農業の持続可能性に大きな疑問を投げかけています。

この問題の解決には、抜本的な政策転換が必要です。

減反政策の見直しや、農家の経営を支援する新たな施策の導入が求められます。また、食料安全保障の観点からも、現在の農業政策を再考する必要があります。

米の生産量を増やし、余剰分を輸出に回すことで、国内の需給バランスを安定させつつ、有事の際の食料確保にも備えることができるでしょう。

消費者も、この問題に無関心ではいられません。適正価格での米の購入を支持し、農家の持続可能な経営を支える意識が必要です。また、地元の農家との直接的な関係構築など、新たな米の調達方法を模索することも重要です。

米不足問題は、日本の農業政策の矛盾、流通構造の歪み、農家の経営危機、そして政治的思惑が複合的に絡み合った構造的問題です。

この問題の解決には、政府、農業関係者、そして消費者を含む社会全体の協力が不可欠です。持続可能な米作農業の構築に向けて、私たち一人一人が考え、行動を起こす時が来ているのです。

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